添乗員ライターがお届けする海外旅行情報。今回は、タイのパタヤから美しいラン島へ向かうフェリーに実際に乗船してきました。チケット購入から帰港まで、リアルな体験談をお伝えします。初めてラン島を訪れる方が迷わずに済むよう、時系列で詳しくレポートいたします。
フェリーとスピードボート、どちらを選ぶべきか
ラン島への移動手段として、フェリーとスピードボートの大きく分けて2つの選択肢があります。実際に体験した結果をお伝えします。
フェリーを選んだ理由
今回フェリーを選択したのは、コストパフォーマンスの良さを重視したからです。料金は片道30バーツ(約150円)と非常にリーズナブルで、スピードボートの5分の1の価格です。予算を抑えて旅行したい場合や、家族連れでの移動費用を節約したい場合には最適な選択肢となります。

スピードボートとの比較
スピードボートは料金が片道150バーツ(約750円)と高めですが、所要時間は約10~20分と短く、時間を有効活用したい場合に適しています。また、後ほど詳しく説明しますが、実際に体験してみると、波の影響による着岸の問題はフェリーの方が深刻で、スピードボートの方が機動性に優れていることが分かりました。
実際に困った注意点と雨季の影響
多くの旅行者が見落としがちなポイントとして、雨季の海況があります。今回は7月末に乗船しましたが、雨季のためラン島付近の海が荒れており、フェリーの着岸に30分もかかる事態となりました。一方で、後から到着したスピードボートは軽々と着岸し、すぐに折り返していったため、悪天候時にはスピードボートの優位性が明確でした。
また、帰りのフェリーの最終便が19時頃となるため、夕日を見たい場合は時間に余裕を持って行動する必要があります。さらに重要なのは、フェリーは定刻通りには出航せず、満席になったら出航するシステムだということです。帰りは定刻の15分前に出航したため、時刻表は目安程度にとどめ、時間に余裕を持った行動計画が必要です。
ホテルからバリハイ桟橋までの道のり

パタヤビーチ北部のホテルを出発
この時はパタヤビーチの北部に位置するホテルに宿泊していました。パタヤビーチではソンテウ利用が便利なため、ソンテウに乗ってバリハイ桟橋まで向かうことにしました。ソンテウに限らず、パタヤ中心部の通りの殆どが一方通行のため、バリハイ桟橋などのパタヤビーチ南部に向かう場合は海沿いのビーチロードに、逆に北部に向かいたい場合は。ビーチから1本内陸に入ったPattaya Sai Songロードに出ておくと便利です。ホテルからビーチロードに向かいソンテウを待っていると、すぐに青色のソンテウが停車してくれました。
ソンテウでの移動体験

ソンテウの料金は1人10バーツ(約50円)と非常に安く、運転手に「パイ、バリハイ」と伝えると理解してもらえましたよ。車両の後ろ側から荷台の座席に乗り込みます。車内は他の乗客も数名おり、現地の雰囲気を味わえる移動手段です。バスと同じブザー用のボタンがあるので、止まって欲しいタイミングでブザーを鳴らします。車両が止まったら、後部から降り、助手席の窓から運賃を支払います。小銭が無い場合でも、ちゃんとお釣りが貰えますよ。北部からの所要時間は約10~20分で、交通状況により多少の変動がありますが、リーズナブルな移動方法です。
バリハイ桟橋でのチケット購入体験

バリハイ桟橋到着
ソンテウで10分くらいでバリハイ桟橋に到着しました。バリハイ桟橋の所で休憩に入るソンテウも多い様でした。桟橋施設は思っていたよりも大きく、正面には大きな建物が建っていますが、中はベンチが並ぶだけで特にチケット売り場などはありませんでした。建物を通り抜けると、桟橋の入口付近に黄色と赤色の看板が掲げられた人だかりが見えてきます。これがチケット売り場です。

チケット購入の流れ

フェリーもスピードボートも事前予約は不要で、当日その場で乗船できます。チケット売り場でチケットを購入する場合は、左側の黄色の窓口がフェーリー券、右側の赤色の窓口がスピードボート券の売場です。
タイでは子供料金がないため、小さな子供は無賃、大きな子供は大人と同料金となります。フェリーの場合は片道のみ、スピードボートの場合は往復でチケットが販売されます。お釣りも貰えます。
フェリーの場合片道のみなので、あれ、帰りがけは大丈夫かな?と心配になるかもしれません。大丈夫です!実は、この券売所も斡旋業者の様で、本当は、フェリー乗船時に検札しているおばちゃんに現金で支払えば乗れる仕組みです。斡旋業者もパタヤ発の利権しか持っていないので、帰りは販売しないという事ですね。ちなみに、金額が大きいスピードボートの場合は、斡旋業者を通さずに乗り場で運賃を支払うと、券売機価格よりも若干安く乗れるようですよ。

乗り場は券売所の横の長い桟橋を奥まで進んでいきます。スピードボートの乗り場を横目で眺めつつ奥まで進んでいき、一番奥のピアAと書かれた場所がフェリーの乗り場です。掲示ダイヤの出発時刻まではまだ30分ほどありましたが、付近に着くなり、もう出発するよと声を掛けられ、乗船を促されました。チケットは、乗船口のおばちゃんが回収しました。

フェリー時刻表
桟橋や案内所など各所で掲示されていた最新の時刻表を以下に掲載します。ただし、フェリーは定刻通りには出航しません。満席になったら出航します。また時刻表にない便も運行されている可能性があるため、現地で最新情報を確認してください。

ラン島内でのフェリーの目的地は2か所あり、出航時刻により目的地が変わります。ラン島の中心の街であるナーバーン港は、フェリーの本数も多いだけでなく、桟橋を中心に街が発展しているため、レンタルバイク屋さんなど、島めぐりに必要なお店が多く軒を連ねています。対照的に、ビーチやマリンアクティビティだけを楽しみたい場合は、ターウェンビーチ直行の船を選ぶとよいでしょう。ターウェン桟橋はターウェンビーチの真横に位置しており、船を降りてすぐにビーチに入れます。
行き(パタヤ → ラン島)
出発時刻 | 到着時刻 | 到着地 |
---|---|---|
7:00 | 7:45 | ナーバーン港 |
8:00 | 8:45 | ターウェンビーチ |
9:00 | 9:45 | ターウェンビーチ |
10:00 | 10:45 | ナーバーン港 |
11:00 | 11:45 | ターウェンビーチ |
12:00 | 12:45 | ナーバーン港 |
13:00 | 13:45 | ターウェンビーチ |
14:00 | 14:45 | ナーバーン港 |
15:30 | 16:15 | ナーバーン港 |
17:00 | 17:45 | ナーバーン港 |
18:30 | 19:15 | ナーバーン港 |
帰り(ラン島 → パタヤ)
出発地 | 出発時刻 | 到着時刻 |
---|---|---|
ナーバーン港 | 6:30 | 7:15 |
ナーバーン港 | 7:30 | 8:15 |
ナーバーン港 | 9:30 | 10:15 |
ナーバーン港 | 12:00 | 12:45 |
ターウェンビーチ | 13:00 | 13:45 |
ナーバーン港 | 14:00 | 14:45 |
ターウェンビーチ | 14:00 | 14:45 |
ターウェンビーチ | 15:00 | 15:45 |
ナーバーン港 | 15:30 | 16:15 |
ターウェンビーチ | 16:00 | 16:45 |
ナーバーン港 | 17:00 | 17:45 |
ターウェンビーチ | 17:00 | 17:45 |
ナーバーン港 | 18:00 | 18:45 |
※運航時刻は満席状況により大幅に前後します。時間に余裕を持った計画を立ててください。
フェリー乗船の実体験

オープンエアの2階建てフェリー
ザ・東南アジアといった雰囲気のフェリーは、想像と大きく異なるものです。冷房はなく、窓もないオープンエアの2階建て構造で、海風が直接入ってくる開放的な造りです。座席というより長いベンチに腰掛ける感じで、中央部には前向きのベンチ、通路の部分には横向きのベンチが配置されています。
救命胴衣の着用

船内の操舵室裏には救命胴衣が山積みになっており、セルフサービスで着用できます。乗船時はほぼ全員が救命胴衣を着用していましたが、タイの猛暑のため出航前に脱ぐ人が続出しました。安全面を考慮すると着用をお勧めしますが、暑さ対策も必要です。
満席になるまで待機

フェリーは定刻通りには出航せず、満席になってから出航するシステムです。行きがけはすぐ出港しましたが、時刻表よりも20分早い出航で、これが通常の運航パターンのようです。
波を切る45分+の船旅
高速航行による激しい揺れ
出港すると、フェリーは波を切って高速で進むため、かなり激しく揺れました。オープンエアのため風は心地よいのですが、揺れは想像以上でした。一緒に乗船していた子供たちは完全に船酔いしており、酔いやすい方は必ず酔い止め薬を服用することをお勧めします。
7月末の海況と着岸に30分を要した体験
7月末という雨季の時期だったため、ラン島付近の海はかなり荒れていました。通常であれば45分程度でラン島に到着します。今回も45分でナーバーン港の目の前に着いたものの、問題はそれからでした。
ラン島のナーバーン港の桟橋の目の前に到着したものの、高波のため着岸できずに30分も待機する事態となりました。大型のフェリーは波の影響を受けやすく、安全に着岸できるタイミングを待つ必要があったのです。この間、船酔いしていた子供たちはさらに体調を崩してしまいました。
スピードボートの優位性を目撃

フェリーが着岸に苦労している間に、後から到着したスピードボートは軽々と着岸し、乗客を降ろした後すぐに折り返していきました。なお、ナーバーン港におけるスピードボートの桟橋はフェリーとは違い、波で上下するフロートの様な浮いている桟橋です。この光景を見て、悪天候時にはスピードボートの機動性が圧倒的に優れていることを実感しました。
ラン島到着と島内移動
ナーバーン桟橋

フェリーの桟橋は、よく見ると今にも朽ちそうなコンクリート製の桟橋です。その先端にフェリーは着岸します。桟橋は高い位置にあるため、細いコンクリート板が坂道の様に低い位置まで続いており、船から下船する際は、この細いコンクリート板に乗り移り、桟橋まで上がります。

桟橋を抜けると、たくさんの客引きが声をかけてきます。客引きはたくさんの商材を持っていて、レンタルバイクの斡旋からマリンアクティビティまで、写真入りのメニューで色々と提案してきます。しかし、客引きは斡旋業者なので、正規価格に斡旋料が上乗せしてあります。聞くだけなら無料なので、情報収集にとどめて先に進みましょう。

モトサイ(バイクタクシー)での移動
ラン島内の移動にはいくつかの方法がありますが、最も手軽でスピーディな選択肢のひとつが「モトサイ(Motorcycle Taxi)」です。モトサイとは、タイ全土で利用されているバイクタクシーのことで、特に細い道が多い島内では非常に便利な移動手段として人気があります。
今回の島内移動も、モトサイを利用しました。ナーバーン港からタヤイビーチまでは1台50バーツ(約250円)で、所要時間は約5分でした。運転手は観光客慣れしており、行き先を相談したら、良さそうなビーチを提案してくれてました。

モトサイは主要なビーチや港周辺に待機していることが多いため、待ち時間がほぼゼロで乗れます。モトサイのドライバーは免許制で、免許を持っている人はオレンジや赤などのゼッケンを着用していますので、ゼッケンを着ている人を目印にモトサイを探しましょう。
だいたい料金は決まっていますが、原則は交渉制です。バンコクと比べ料金は少し高めですが、ぼったくられない様に、乗車前に料金は確認しましょう。バイクなのでスピードを上げます。乗車中は振り落とされない様に、しっかりとつかまってくださいね。なお小学生低学年くらいまでの小さな子供であれば、親と一緒に乗せてくれます。
タヤイビーチでの体験

美しいビーチの魅力

タヤイビーチに到着すると、その美しさに感動しました。入口は色とりどりの花々が出迎えてくれて、目下に海が広がります。小さくてコンパクトなビーチですが、エメラルドグリーンの海と白い砂浜のコントラストは、フェリーでの辛い体験を忘れさせてくれるほどでした。ビーチチェアは100バーツ(約500円)でレンタルでき、疲れた体を休めました。
昼食とビーチタイム

ビーチにあるレストランで、チャーハンを注文しました。料金は250バーツ(約1,250円)程度で、パイナップルに入ったチャーハンを美しい海を眺めながら味わうことができました。午後はビーチでのんびり過ごし、ラン島の魅力を満喫しました。
活気のあるビーチならターウェンビーチ

マリンスポーツや活気のあるビーチをお探しの場合、ターウェンビーチに行ってみる事をオススメします。パタヤからのフェリーも発着するターウェンビーチは、タヤイビーチとは対照的に、ラン島で一番活気のあるビーチです。また、時間に余裕のある方は、バイクをレンタルして、色々なビーチ巡りをオススメします。

帰りのフェリー体験

帰路へ
帰りがけもナーバーン港からのフェリーを利用しました。帰りも30バーツですが、行きとは違い券売所は見当たりませんでした。ナーバーン港に戻ったタイミングでは、出航待ちしている船が無く、桟橋手前のベンチで20分ほど待っていると、フェリーが入ってきました。特にアナウンスなどはないため、ちょくちょく桟橋の先端を確認が必要です。

乗船口では椅子に座ったおばちゃんが待機しており、現金で運賃を徴収していました。ちょうど船が到着したタイミングだったため、乗船後もなかなか出発でず、船内で30分ほど待機が必要でした。ナーバーン港の桟橋は、海にそのまま突き出ているため、波の影響をもろに受けます。待っている間も大きく揺れ続けていました。出航は定刻よりも15分前、満席になったため早めの出航となったようです。定刻前だったため、桟橋には乗客と見られる方々も続々と到着していましたが、断られている様で、そのまま出航しました。
帰路の船旅
帰りも同様に激しく揺れ、子供たちも船酔いで気分が悪そうでした。バリハイ桟橋は港湾内に位置するため高波の影響をうけず、行きがけとは違いスムーズに着岸しました。

荒波で気分が悪くなったせいか、気分リフレッシュに桟橋内の屋台は下船客で大盛況でした。私も綺麗にカービングされた小さなパイナップルを買いましたが、これが甘くてとっても美味しかった!ベンチが桟橋正面の建物内にあるので、そこで座り子供たちも競って食べていました。
雨季の影響で海況が悪かったため、フェリーでの移動は体力的にかなりきつい体験となりました。
パタヤ市内での帰路のトラブル
ソンテウの乗車拒否

無事にバリハイ桟橋に到着しましたが、帰りはソンテウではなくGrabを利用しました。理由は、ウォーキングストリートが歩行者天国の時間帯が近づいた、ソンテウがパタヤ北部への乗車を拒否したからです。実際には乗車拒否というより、運賃500バーツなどと言ってぼったくってきます。この時間帯になると、多くのソンテウがウォーキングストリート周辺で終点となり、北部への移動が困難になります。
なおパタヤ中心部ではソンテウが運行していたため、歩行者天国が始まる手前まで徒歩で移動するなどすれば、ソンテウ利用も可能かと思います。
Grabでの帰路
道路は比較的動いている状況だったため、呼んでから2~3分でGrabタクシーがやって来ました。Grabでの料金は115バーツ(約575円)で、所要時間は約20分でした。交通渋滞もあり、ソンテウより高額でしたが、疲れたタイミングで確実にホテルまで送ってもらえる安心感がありました。
費用の詳細記録
今回のフェリー利用にかかった1人当たりの費用を詳しく記録しました。
- 行きソンテウ代:10バーツ(約50円)
- パタヤ→ラン島フェリー代:30バーツ(約150円)
- ラン島→パタヤフェリー代:30バーツ(約150円)
- 島内モータサイ代(往復):100バーツ(約500円)
- ビーチチェア・パラソルレンタル:100バーツ(約500円)
- 昼食代:300バーツ(約1,500円)
- 飲み物代:120バーツ(約600円)
- 帰りGrab代:115バーツ(約575円)
- 合計:805バーツ(約4,025円)
乗船してわかったコツとアドバイス

酔い止め薬は必須
フェリーは高速で航行するため激しく揺れます。船酔いしやすい方は、乗船1時間前に酔い止め薬を服用することを強くお勧めします。特に雨季は海況が悪いため、普段船酔いしない方でも注意が必要です。
雨季の利用は慎重に
7月末という雨季に体験しましたが、海況の影響でフェリーの着岸に時間がかかることがあります。時間に余裕のない旅程の場合は、ツアーやスピードボートの利用を検討することをお勧めします。
時刻表は参考程度に
フェリーは満席になったら出航するシステムのため、時刻表は参考程度に考えてください。早めに出航することもあれば、遅れることもあります。バンコクの路線バスと同じで気まぐれ運行のため、出航直後でも別の船が直ぐ出てくれる場合もありますが、船が出尽きてしまうと、他の船が戻るまでしばらく出航がありません。状況は乗り場のおばちゃんたちが把握しているため、現地で最新情報を確認することが重要です。
服装と持ち物
オープンエアのため、日焼け止めと帽子は必須です。救命胴衣を着用する場合は暑くなるため、通気性の良い服装をお勧めします。また、濡れる可能性があるため、防水バッグに貴重品を入れておくと安心です。また、長時間船内で缶詰になる可能性に備え、飲み物はしっかりと準備してから乗船しましょう。

今回の乗船記まとめ

パタヤからラン島へのフェリーでの移動は、料金の安さは魅力的ですが、雨季の利用には注意が必要だということが分かりました。特に海況が悪い日は、フェリーよりもスピードボートの方が確実で快適な移動手段となります。
船酔いしやすい方や時間を有効活用したい方、悪天候が予想される日は、多少料金が高くてもスピードボートを選択することをお勧めします。一方で、予算を重視し、船旅そのものを楽しみたい方、海況の良い日であれば、フェリーも十分に選択肢となるでしょう。
いずれにしても、ラン島の美しさは移動の苦労を補って余りあるものでした。エメラルドグリーンの海と白い砂浜は、一度見れば忘れられない思い出となるはずです。
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